金属検査装置「メタルチェッカー」が完成!
・金属にレーザを当てるだけで,瞬時に金属中の元素成分を検知できる.
 ・アルミ合金の場合,1000系〜7000系の合金系にソーティング可能
 ・真鍮やステンレスなどのソーティングも可能
1Shot-LMAソータ  LMAS10

ショットでアルミ合金を鋳物材及び7種類の展伸材に判別振分けできる高性能アルミ合金スクラップソータ
アルミ缶なども直接選別可能
・ステンレスの選別(316,300番台,400番台)
・真鍮の選別(雷管用,丹銅,黄銅(七三,六四))

Catch(受け)&Drop(落とし)方式
アルミ缶の選別例
アルミ缶のボディは3000系,缶エンド(ふた),キャップは5000系に選別される.

 

LIBS ソータ:LMAS-S1
LIBSソータ“LMAS-S1”は,レーザ1ショットでアルミ合金を鋳物材及び7種類の展伸材に選別可能な高性能アルミ合金スクラップソータ
 スライダ方式(レーザは1Hzで照射)
ステッピングモータ方式(レーザは1,2,3,5,10Hzと変化させて照射)

 

LIBS ソータ :LMAS10

 LMAS10

            [開発背景] 
アルミニウムは鉄に次いで多く用いられている金属で,アルミ合金スクラップを回収して再利用することは極めて有用である。アルミのリサイクルの現状は,回収したアルミ製品を溶解して含有元素を確定した後,鋳物やダイキャスト用の2次合金用途に回されるカスケードリサイクルが主流である。しかし,アルミ合金スクラップは製品毎に添加元素が異なるため,溶解する前に元の合金系に選別できれば,いわゆる ”product to product” の水平リサイクルが可能となり,アルミ合金スクラップの再利用率の大幅な向上が期待できる。

             [LIBSソータ]
研究室で開発したLMA(Lasr Microprobe Analyzer)をベースにアルミニウム合金スクラップ選別用の LIBS ソータ装置 “LMAS10”を開発した。本装置はパルスYAGレーザ,レーザ集光用対物レンズ,プラズマ集光レンズ,光ファイバ,小形分光器およびノートパソコンから構成され,レーザ発振から信号取込までの一連の動作はパルスジェネレータで制御される。スクラップの移動はベルトコンベアが使用されるが,今回はモータでスクラップを回転させることで代用した。


[LMAS-10 構成図]


[LMAS10 装置]

           [性 能] 
開発したLIBS ソータのLMAS-10の性能,特徴は以下のとおりである。
1.レーザ1ショットで選別可能
2.選別速度:100ms/1piece
(選別速度は最高30ms/1pieceまで対応可能)
3.試料形状:任意の形状(高さ数cmの変化に対応)
4.極めてシンプルな構成のため低価格である。
5.スクラップ搬送機(ベルトコンベアetc.)と組合わせることにより,
スクラップ選別機として実用化可能
          [選別テスト] 
試料ステージに,表1に示す6種類のアルミスクラップ合金(鋳物材1個,展伸材5個)をセットし,LMAS-10でソーティング実験を行った。
実験の様子は右のmovieで確認でき,選別結果はLEDで表示される。

表1 選別用スクラップ試料
鋳物材 展伸材
AC-2B-NB Pure Al AC5A-B22 3S-NDC2 6061 7075



LMAS10によるアルミ合金スクラップの選別(movie)

 

レーザ発光分析装置
LMA:Laser Microprobe Analyzer

レーザマイクロプローブアナライザ(LMA)LIBS(Laser-Induced Breakdown Spectroscopy)を利用した元素分析装置で,高出力パルスレーザを試料の微小部分に集光照射した際に生成される発光プラズマを分光分析して得られるスペクトルを解析することにより,試料に含まれる元素の定量分析が行える。LMAはレーザ光を励起・発光源に利用しているため,非伝導性物質でも直接分析できる特長を有する。

レーザ生成発光プラズマ

減圧アルゴン雰囲気中で純鉄(Fe)と純銅(Cu)にレーザを照射した時の発光プラズマの写真を示す。可視領域では鉄は440nm,銅は510nm付近に強い発光スペクトル線があるため,鉄のプラズマ青色,銅のプラズマは緑色に見える。発光プラズマ(movie)は,鉄と銅のサンプルを並べたステージを回転させたときのプラズマの発光の様子である。

サンプル:純鉄
サンプル:純銅
発光プラズマ(movie)
LIBS(Laser-Induced Breakdown Spectroscopy)

レーザ誘起ブレークダウン分光法(LIBS)はレーザ生成プラズマの発光スペクトルの波長から元素を特定し,スペクトル線強度から元素濃度を決定できる。原理図の発光スペクトルはアルミニウム合金を分析して得られたスペクトルで,成分元素の銅(Cu)のスペクトル線が波長324.7 nmと327.4 nmに観測されている。(銅のスペクトルは可視領域では510nm付近が強いが,最も強度が強いスペクトル線は紫外領域の320nm付近にある。)


[原理図]