光ピンセット
LOT:Laser Optical Tweezers

はじめに
 光ピンセット(LOT:Laser OpticalTweezers)は、レーザを物体に照射した際に生ずる光の放射圧を用いて、ピンセットで物体を捕捉するように細胞や粒子等をとラッピングする装置である。非接触でmmオーダの粒子等のトラッピングが可能といった特徴を持ち、近年、工学・医学・生物学などの分野での応用が報告され、この装置への注目が高まりつつある。

 当研究室では、試料のトラッピングにHe-Neレーザを用いた光ピンセットを試作し、性能向上ための基礎研究を行っている。

 

LOTシステム

 開発中のLOTシステムはHe-Neレーザ、金属顕微鏡、CCDカメラ、モニタ、および画像処理用パソコンから構成される。レーザ光は、金属顕微鏡内に設置したダイクロイックミラー(赤色を反射して青と緑を透過するミラーDM-Rを使用)および油浸対物レンズで試料表面に集光照射し、その際に生じる光の放射圧によって粒子のトラッピングを行う。その様子は、CCDカメラを介し試料観測用モニタ、および観測用パソコンに転送されCanopus社提供の画像処理ソフトによりリアルタイムに観測・保存を行う。

 

 

光トラップの原理  
 レーザを細胞や微粒子などに集光照射すると、レーザは媒質の違いから屈折し、光の運動量がaだけ変化する。この運動量を合成したものがbになる。この際粒子は、運動量を保存しようと、bと逆向きの力が生じ、その結果粒子は焦点にトラップされる。レーザトラッピングでは、レーザ光を局所領域に集光照射し、試料ステージを移動させることで捕捉した粒子のみを相対的に平行移動させることができる。

 

光トラップの原理

 試作した本システムを用いて、直径5μmのポリスチレンラテックスのトラッピングを行ったところ、レーザスポットに粒子がトラッピングされる様子を確認した。

 

 

 

 

トラッピングの様子をムービーで見ることができます。